Zelandites属の見分け方

Zelandites 属の国内で産出する種類の紹介と区別の仕方を説明する。
Zelandites は北海道・サハリンを含む蝦夷層群や根室層群、淡路島を含む和泉 層群から見つかっている。
種類の数は多くなく、種類は産出時代で殆ど区別できる。
世界からは計13種類見つかっており、そのうち6種類は日本でも見つかる。

Zelandites inflatus(アルビアン後期〜セノマニアン)

・・・臍は狭く、臍の壁はすり鉢状、幼殻からやや S 字状の周期的なくびれ を持つ。flank は丸く、venter に鋭く収束する。螺環の最大幅は真ん中に来る。 最大60mm程度と大型になる。セノマニアンからは比較的多産することで 馴染みある種類である。

Zelandites mihoensis(チューロニアン)

・・・臍はやや広く、臍の壁はやや階段状、幼殻から周期的なくびれを持つ。 平らな flank を持ち、venter は丸い。螺環の最大幅は真ん中に来る。 Anagaudryceras にも近い特徴を持っているとも言え、Zelandites の中では変わ り種。産出は極めて稀。

Zelandites matsumotoi(コニアシアン)

・・・臍の広さは普通で、臍の壁はややすり鉢状、幼殻で直線的な斜めのく びれを持つ。螺環の最大幅は真ん中に来る。螺環断面は他の Zelandites と比 べると丸い。サハリンから産出した標本を元に記載されたが、追加標本の無 い幻のアンモナイト。

Zelandites kawanoi(サントニアン〜カンパニアン初期)

・・・臍はやや広く、臍の壁はややすり鉢状、幼殻から直線的な斜めのくび れを持つ。螺環の最大幅は真ん中に来る。螺環断面はレンズ状。時々産出す る。

Zelandites varuna, Zelandites japonicus(マストリチヒアン)

・・・臍は狭く、臍の壁はすり鉢状、S 字状のくびれはまばらで弱く、頻度 や有無は個体による。螺環の最大幅は臍寄りである。螺環断面は Z. inflatus に近く、flank は venter に鋭く収束する。 Z. varuna はマストリチヒアン後期から汎世界的に産出が報告されている。 Z. varuna と Z.japonicus はシノニムであるという説があり、研究者の間でも意 見がわかれている。Z. japonicus の方が臍が更に狭い印象がある。